ある関数
f(t) について導関数
f′(t) が存在し、原始関数
f(t) と導関数
f′(t) のラプラス変換が存在する場合に、
特定の条件下で原始関数のラプラス変換
F(s) から 原始関数
f(t) の初期値と収束値を求めることができる。この定理の適用可能条件を確認するため、ラプラス変換の定義から本定理の導出を行う。
時刻
[0,∞) で定義された関数
f(t) について、複素数
s を用いた以下の変換が有限値に収束するとき、
F(s) を関数
f(t) のラプラス変換と呼び、ラプラス変換が存在する
s の領域を収束域と呼ぶ。
F(s)≡∫0∞f(t)e−stdt
ここで、ラプラス変換が存在する条件は次のように表現される。
t→∞limf(t)e−st=0
関数
f(t) が実定数
C,a に対して次の条件を満たすとき、収束域を定めることできる。
∣f(t)∣<Ce−att→∞limCe−(s+a)t<0∴s={c∈→∣f(t)∣e−st<Ce−(s+a)t→Re[s]+a>0C ∣ Re[c]>−a}
原始関数と導関数のラプラス変換が存在するとき、以下の等式が成立する。
∫0∞dtdf(t)e−stdt=[f(t)e−st]0∞+s∫0∞f(t)e−stdt=τ→∞limf(τ)e−sτ−f(0)+sF(s)=sF(s)−f(0)
両辺に
s→∞ の極限を取り、極限値が存在すればその極限値は原始関数
f(t) の初期値となる。
s→∞lim∫0∞dtdf(t)e−stdt⇔0⇔f(0)=s→∞limsF(s)−f(0)=s→∞limsF(s)−f(0)=s→∞limsF(s)
両辺に
s→0 の極限を取り、極限値が存在すればその極限値は原始関数
f(t) の最終値となる。
s→0lim∫0∞dtdf(t)e−stdt⇔∫0∞dtdf(t)dt⇔t→∞limf(t)−f(0)⇔t→∞limf(t)=s→0limsF(s)−f(0)=s→0limsF(s)−f(0)=s→0limsF(s)−f(0)=s→0limsF(s)
持続振動を伴う周期信号の最終値は不定であるが、そのような原始関数のラプラス変換は
s=0 を収束域に含まず、右辺の極限値が存在しないため最終値の定理を適用することはできない。